最初の48時間で確認すること
配偶者の失踪では、「自らの意思で出て行ったのか」「事故や事件に巻き込まれたのか」の見極めが最初の分岐点になります。この判断で、警察の動き方も、その後に取るべき手段もまったく変わります。次の項目を、思い出せる範囲で書き出してください。
| 確認する場所 | 見るべきもの | 分かること |
|---|---|---|
| 持ち出した物 | 財布、通帳、印鑑、健康保険証、着替え、化粧品、常用薬 | 生活用品がまとまって消えていれば、計画的な家出の可能性が高い |
| スマートフォン | 本人が持って出たか、自宅に残されているか | 置いていった場合は、追跡を避ける意図か、突発的な出来事のどちらか |
| 預金・カード | 直前の引き出し、残高の移動、カードの利用履歴 | まとまった額の引き出しは準備の証拠。当面の生活の当ても推測できる |
| 職場 | 出勤しているか、退職の申し出をしていなかったか | 在職中に無断欠勤が続いている場合は、突発的な事情の可能性が上がる |
| 郵便物 | 督促状、消費者金融の通知、保険の解約通知 | 金銭的な事情が背景にある場合、失踪の動機が見えてくる |
| 車・自転車 | 自宅にあるか、駅の駐輪場などに残されていないか | 移動手段から行動範囲を絞り込める |
迷わず110番すべき状況
書き置きに死をほのめかす記述がある、直前に「消えたい」と漏らしていた、持病の薬を持たずに出ている、認知症の症状がある、事故や事件の心当たりがある。いずれかに当てはまる場合は、この記事を読み進める前に110番してください。これらは特異行方不明者として扱われ、警察が捜索体制を組む対象になります。時間の経過が結果を左右します。
警察に届け出たとき、実際に何が起きるか
成人が自らの意思で家を出たと判断された場合、その届出は一般行方不明者として登録されます。この場合、警察が捜索隊を編成して探すことはありません。登録された情報は全国の警察で照会できる状態になり、職務質問や交通違反、身元不明者の保護といった場面で本人が確認されれば、家族に連絡が入るという仕組みです。
「届け出たのに何もしてくれない」という不満の多くは、ここに原因があります。これは警察の怠慢ではなく、成人が自分の意思で居所を移すことは違法ではないため、公権力が介入する根拠がないという制度上の理由です。
それでも届出は必ず出してください。理由は3つあります。第一に、事件性が後から判明した場合の対応が早くなること。第二に、本人が発見された際の連絡先として登録されること。そして第三に、身元不明の遺体が発見された場合に、届出の情報との照合が行われることです。3つめは口にするのがつらい話ですが、実務上は重要な意味を持ちます。詳しい手続きは行方不明者届(捜索願)の出し方にまとめています。
届出のときに伝えると扱いが変わること
健康状態(持病・服薬・通院歴)、直前の言動、金銭トラブルの有無は、必ず具体的に伝えてください。事案の区分は届出時の情報で決まります。後から状況が分かった場合も、その都度、担当の警察署に追加で伝えてください。区分が見直されることがあります。
生活費・口座・名義の現実的な問題
配偶者の失踪が他の人探しと大きく違うのは、捜すこと以上に、明日からの生活をどう維持するかが差し迫った問題になる点です。ご相談の場でも、所在の話より先に、生活費の話になることが少なくありません。
配偶者名義の預金は引き出せない
夫婦であっても、配偶者名義の預金を代わりに引き出す権限はありません。キャッシュカードと暗証番号を預かっていた場合でも、金融機関が失踪の事実を把握すれば取引が制限されることがあります。当面の生活費は、ご自身名義の資金でまかなう前提で考える必要があります。
婚姻費用の分担は請求できるが、所在が前提になる
夫婦には互いに生活費を分担する義務があります(民法760条)。家庭裁判所に婚姻費用分担の調停を申し立てることもできますが、相手方の住所が分からなければ手続きを進められません。所在調査が、生活費の確保という現実的な目的に直結するのはこのためです。
配偶者の借金を負担する必要は原則ない
失踪後に督促状が届き、不安になる方が多くいらっしゃいます。配偶者が個人で負った借金について、もう一方が返済義務を負うことは原則としてありません。ただし、連帯保証人になっている場合と、日常の家事に関する債務(民法761条)は例外です。督促状は捨てずに保管し、早い段階で弁護士か自治体の無料法律相談にご相談ください。
使える公的支援を確認する
児童扶養手当、就学援助、国民健康保険料の減免など、配偶者の収入が途絶えた世帯を対象にした制度があります。「離婚していないから対象外」と思い込んでいる方が多いのですが、遺棄されている状態であれば対象になる制度があります。まずはお住まいの市区町村の窓口でご相談ください。
自分で所在を追う手順
配偶者は、人探しにおいて最も有利な立場にあります。同じ戸籍に入っているため、公的書類をたどるルートが使えるからです。
1. 戸籍の附票で住民登録地を確認する
戸籍の附票には、その戸籍が作られて以降の住所の履歴がすべて記録されています。配偶者は同一戸籍の構成員として請求できますので、本籍地の市区町村に請求してください。手数料は1通300〜400円程度です。相手が転居先で住民票を移していれば、この1通で現住所が判明します。
なお、2024年3月から始まった戸籍証明書の広域交付により、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本・除籍謄本を請求できるようになりました。ただし戸籍の附票は広域交付の対象ではありません。附票は本籍地の市区町村へ、郵送または窓口で請求します。請求できる立場や必要書類は戸籍の附票・住民票で人を探す方法で詳しく解説しています。
2. 共通の知人・親族に連絡する
実務上、最も情報が出てくるのは相手方のご実家です。感情的に連絡しづらい相手であることが多いのですが、「責めるためではなく、無事かどうかだけ知りたい」という姿勢で伝えると、返答が得られることがあります。相手の親族が居場所を知りながら黙っているケースは、決して珍しくありません。
3. 位置情報の共有設定が残っていないか確認する
iPhoneの「探す」でファミリー共有をしていた、Googleアカウントでロケーション共有を設定していた、という場合、設定が解除されていなければ現在地が表示されることがあります。まずご自身の端末で確認してください。なお、相手の同意なく新たに位置情報アプリを入れる、GPS発信器を車に取り付けるといった行為は法に触れる可能性があります。この線引きは探偵業法とはで解説しています。
4. ここで行き止まりになる場合
次のいずれかに当てはまると、ご自身での追跡はほぼ止まります。
- 住民票が動いていない(住民登録地が自宅のままになっている)
- 住民登録地は判明したが、そこに実際には住んでいない
- 実家や知人が所在を知りながら教えない
- DV等支援措置が講じられており、証明書の交付が制限されている
最初の2つは、現地での居住実態の確認と周辺調査が必要な領域です。3つめは、第三者が接触したほうが情報が出ることがあります。4つめについては、次の注意をお読みください。
相手が逃げている理由を、一度考えてください
配偶者の失踪には、暴力や強い支配から逃れるための避難という形があります。この場合、住民基本台帳の支援措置により、加害者とされた側からの住民票・戸籍の附票の交付請求は制限されます。これは本人の安全を守るための制度であり、当社が迂回することはありません。また、相手が明確に拒否している状況での接触を目的としたご依頼はお受けしていません。心当たりがある場合は、所在を探すのではなく、弁護士を通じた話し合いに切り替えることをおすすめします。
生死が分からない状態が続いたとき
所在が分からないまま年月が過ぎると、生活のあらゆる場面で支障が出ます。家や車の名義変更ができない、預金が動かせない、再婚できない。法律は、こうした状態を解消するための制度を用意しています。
| 制度 | 必要な期間 | できること | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 不在者財産管理人の選任 | 期間の定めなし | 家庭裁判所が選んだ管理人が、不在者の財産を管理・処分する | 予納金が必要になることが多い |
| 離婚訴訟(3年以上の生死不明) | 3年以上 | 民法770条1項3号を理由に、裁判で離婚できる | 調停を経ず訴訟から始められるが、生死不明の立証が要る |
| 失踪宣告(普通失踪) | 7年以上 | 法律上、死亡したものとみなされる。相続・保険金の手続きが可能になる | 審判まで半年以上かかることが多い |
3年以上生死が明らかでないとき、これは法律上の離婚原因にあたります(民法770条1項3号)。ここでいう「生死不明」は、単に連絡が取れないことではなく、生きているとも死んでいるとも確認できない状態を指します。相手がどこかで生活していることが分かっている場合は、この条文ではなく、悪意の遺棄(同項2号)などを理由に進めることになります。いずれにしても、所在調査の結果は、その後の法的手続きの土台になります。
7年以上生死が分からない場合は、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることができます。手続きの流れと費用は失踪宣告とはで詳しく解説しています。
調査を依頼する場合の費用と期間
配偶者の所在調査は、手元の情報が比較的そろっているため、人探しの中では到達しやすい部類に入ります。氏名・生年月日・本籍地・過去の勤務先が分かっており、なおかつ戸籍の附票が請求できる立場にあるためです。
| 状況 | 費用の目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 附票で住民登録地が判明。居住実態の確認のみ | 15万円〜30万円 | 1〜2週間 |
| 住民票が動いておらず、勤務先や交友関係からたどる | 30万円〜60万円 | 2週間〜1か月 |
| 失踪から年数が経ち、意図的に身を隠している | 60万円〜100万円 | 1〜3か月 |
離婚や婚姻費用の請求が目的であれば、先に弁護士へ相談し、必要な範囲を確認してから調査に入るほうが、結果として費用を抑えられます。訴状を送達するための住所さえ判明すればよいのか、居住実態の確認まで必要なのかで、調査の範囲が変わるためです。料金体系の詳細は人探しの費用相場をご覧ください。
やってはいけないこと
- SNSで実名や写真を公開して情報を募る — 発見率が低いうえ、相手の個人情報が消えなくなります。お子さんがいる場合、将来の不利益にもつながります(SNS拡散の危険性)
- 勤務先に繰り返し連絡する — 相手の立場を失わせると、生活費の回収が難しくなります
- 相手の実家に押しかける — 情報が出ていた相手ほど、以後は口を閉ざします
- 探し出してすぐに直接会いに行く — 相手が身構え、話し合いの機会そのものが失われます
- 「戸籍を取れる」と言う業者に依頼する — 戸籍・住民票を職務上請求できるのは弁護士・司法書士など8士業に限られます。探偵にその権限はありません
所在が判明したあと、どう接触するかで結果が大きく変わります。当社では、依頼者様に代わって調査員が第三者の立場で意向を確認する方法をご提案しています。相手が身構えずに応じられること、そして断られた場合にご本人が直接傷つかずに済むことが理由です。
よくある質問
夫が家出しました。警察は探してくれますか。
成人が自らの意思で家を出たと判断されると、一般行方不明者として登録され、警察が積極的に捜索することはありません。登録された情報は全国の警察で照会でき、職務質問や保護の場面で本人が確認されれば連絡が入ります。事件性や自殺のおそれ、持病があるといった事情がある場合は特異行方不明者として扱われ、対応が変わります。届出の際は健康状態や直前の言動を具体的に伝えてください。
配偶者の戸籍の附票は自分で取れますか。
取れます。配偶者は同一戸籍の構成員ですので、本籍地の市区町村に戸籍の附票を請求できます。手数料は1通300〜400円程度です。附票には住所の履歴が記録されているため、相手が転居先で住民票を移していれば現住所が判明します。ただし2024年3月に始まった戸籍証明書の広域交付の対象は戸籍謄本・除籍謄本であり、附票は含まれません。附票は本籍地の市区町村へ請求してください。
住民票の住所に行っても住んでいませんでした。次はどうすればよいですか。
住民登録地と実際の生活拠点がずれている状態で、ご自身での追跡が止まる典型的な地点です。ここから先は、表札や郵便受けの状態、電気やガスの使用状況、近隣への聞き込みといった現地調査で居住実態を確認し、旧勤務先や交友関係から新しい生活圏を割り出す作業になります。書類の上では追えないため、実地の調査が必要な領域です。
何年たてば離婚できますか。
生死が3年以上明らかでないときは、それ自体が法律上の離婚原因になります(民法770条1項3号)。ここでいう生死不明は、生きているとも死んでいるとも確認できない状態を指し、相手がどこかで生活していると分かっている場合は別の理由で進めることになります。7年以上生死不明であれば失踪宣告を申し立てることもできますが、こちらは死亡したものとみなす制度で、離婚とは効果が異なります。どちらを選ぶべきかは弁護士にご相談ください。
相手が私から逃げている場合でも調査を依頼できますか。
お受けできない場合があります。暴力や強い支配から逃れるための避難であるとき、住民基本台帳の支援措置により証明書の交付が制限されます。これは本人の安全を守る制度であり、当社が迂回することはありません。また、探偵業法第9条により、調査結果が違法行為に用いられるおそれがある依頼は受けられないと定められています。ご依頼の目的と経緯は必ず確認させていただきます。
配偶者の所在を確認したい方へ
ご相談は無料です。24時間365日、匿名でも承ります。
お話をうかがったうえで、ご自身で試せることが残っていればその手順をお伝えします。