日本では1年間に8万人が行方不明になっている
警察庁の「令和7年における行方不明者届受理等の状況」によれば、2025年(令和7年)中に受理された行方不明者届は8万486人分でした。1日あたり約220人が行方不明として届け出されている計算になります。
| 年 | 行方不明者数 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|---|
| 令和3年(2021年) | 79,218人 | 50,289人 | 28,929人 |
| 令和4年(2022年) | 84,910人 | 54,259人 | 30,651人 |
| 令和5年(2023年) | 90,144人 | 57,410人 | 32,734人 |
| 令和6年(2024年) | 82,563人 | 52,502人 | 30,061人 |
| 令和7年(2025年) | 80,486人 | 50,918人(63.3%) | 29,568人(36.7%) |
令和5年の9万人台をピークに2年続けて減少していますが、それでも年間8万人規模という水準に変わりはありません。男女比はおおむね6対4で推移しており、男性のほうが多い傾向が続いています。
この数字が意味すること
8万486人という数字は「警察に届け出があった件数」です。成人が自分の意思で家を出た場合、家族が届出をしないまま時間が経つケースは相当数あります。実際に連絡が取れなくなっている人の数は、この統計よりも多いと考えるのが自然です。当社にご相談いただくケースでも、届出を出さないまま数年が経過していた例は珍しくありません。
年齢層別に見ると、山が2つある
行方不明者を年齢層で分けると、10代と80歳以上という離れた2つの層に集中していることが分かります。原因も対応もまったく異なる、別の問題が同じ統計に同居している状態です。
| 年齢層 | 人数(令和7年) | 人口10万人当たり |
|---|---|---|
| 9歳以下 | 982人 | 11.8人 |
| 10歳代 | 18,288人 | 172.7人 |
| 20歳代 | 13,661人 | 106.8人 |
| 30歳代 | 8,026人 | 61.0人 |
| 40歳代 | 6,330人 | 39.7人 |
| 50歳代 | 5,965人 | 32.4人 |
| 60歳代 | 4,175人 | 27.9人 |
| 70歳代 | 9,259人 | 57.4人 |
| 80歳以上 | 13,800人 | 106.9人 |
最も多いのは10代(18,288人)で、人口10万人当たりでも172.7人と突出しています。令和3年の13,577人から4年で約3割増えており、増加が続いている層です。
次に多いのが80歳以上(13,800人)で、70代(9,259人)と合わせると2万3千人を超えます。こちらは後述するとおり、ほとんどが認知症に関係しています。
一方、働き盛りの30〜60代は、いずれも人口比では低い水準です。ただし件数が少ないぶん、家族が「なぜうちが」と孤立感を抱えやすい層でもあります。
原因・動機から見える背景
| 原因・動機 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 疾病関係 | 22,753人 | 28.3% |
| うち認知症または疑い | 17,345人 | 21.6% |
| 家庭関係 | 12,599人 | 15.7% |
| 事業・職業関係 | 5,340人 | 6.6% |
| 学業関係 | 1,916人 | 2.4% |
| 異性関係 | 1,713人 | 2.1% |
| 犯罪関係 | 621人 | 0.8% |
| その他 | 14,891人 | 18.5% |
| 不詳 | 20,653人 | 25.7% |
認知症が5人に1人を占める
単独の原因として最も多いのが認知症またはその疑い(17,345人・21.6%)です。80歳以上の行方不明者13,800人のうち10,661人、実に77.3%が認知症を原因としています。この層は他とは緊急度がまったく異なり、夏の熱中症・冬の低体温症が直接命にかかわります。心当たりがある方は認知症で行方不明になったらを先にお読みください。
10代は「家庭関係」が3分の1
10代の行方不明18,288人のうち、家庭関係が6,047人(33.1%)と最も多く、学業関係1,581人、異性関係822人が続きます。家庭内での葛藤が引き金になっているケースが多く、発見後にそのまま元の生活に戻すと再び家を出る例が少なくありません。対応は子どもが家出したらで詳しく解説しています。
20代は仕事、そして「不詳」の多さ
20代では事業・職業関係が2,353人(17.2%)と他の層より高く出ます。また全体を通して「不詳」が20,653人(25.7%)と4人に1人を占めている点も見逃せません。届け出る家族自身が、失踪の理由に心当たりがないという状況が、それだけ多いということです。
犯罪関係は621人。ただし少ないから安心ではありません
犯罪に関係する行方不明は621人(0.8%)で、割合としては小さい数字です。しかし、事件性の有無は初期の段階では判断できません。届出時に事件性をうかがわせる事情を伝えられるかどうかで、警察の対応は大きく変わります。判断に迷う情報こそ、そのまま伝えてください。
どのくらいの期間で見つかっているのか
実務上、最も重要なのがこの数字です。令和7年に所在が確認された67,859人について、届出の受理から確認までにかかった期間は次のとおりでした。
| 受理から所在確認までの期間 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 受理当日 | 33,322人 | 49.1% |
| 2日〜3日 | 20,180人 | 29.7% |
| 4日〜7日 | 4,129人 | 6.1% |
| 8日〜14日 | 2,130人 | 3.1% |
| 15日〜1か月未満 | 1,620人 | 2.4% |
| 1か月〜3か月未満 | 1,894人 | 2.8% |
| 3か月〜6か月未満 | 1,092人 | 1.6% |
| 6か月〜1年未満 | 1,113人 | 1.6% |
| 1年〜2年未満 | 975人 | 1.4% |
| 2年以上 | 1,404人 | 2.1% |
3日以内に約8割、1週間以内に約85%
所在が確認された人のうち、受理当日が49.1%、3日以内で78.8%、1週間以内で84.9%に達します。行方不明の多くは、比較的短期間で解決しているということです。
しかし、この数字は逆側から読む必要があります。1週間を過ぎても見つからなかった場合、その後の発見までの期間は一気に長くなります。1か月以上かかった人が6,478人(9.5%)、1年以上が2,379人(3.5%)、2年以上が1,404人という分布です。
これは実務の感覚とも一致します。最初の数日で見つかるケースの多くは、本人が自ら戻る、行き先が限られている、所持金が尽きるといった理由によるものです。その段階を過ぎて見つからない場合、本人が新しい生活基盤を作り始めていることが多く、以後は公的記録の追跡や現地調査といった別の手法が必要になります。
認知症の場合は、ほぼ3日以内で決着する
認知症に係る行方不明者で所在が確認された16,156人のうち、受理当日が11,369人(70.4%)、3日以内が98.1%を占めます。裏を返せば、3日を超えると発見の見込みが急激に下がるということです。この層で初動がすべてと言われるのは、この数字が根拠です。
残念な結果に至るケース
令和7年には、所在確認等のうち3,850人が死亡確認でした。このうち受理当日が826人、2〜3日が1,217人と、65.1%が1週間以内に確認されています。つらい数字ですが、時間との勝負であることを示しています。
統計を読むときの注意
「所在確認等の数」(81,843人)には、前年以前に届出が出された人の確認分も含まれます。そのため、届出件数との単純な割り算で発見率を求めることはできません。この記事の構成比は、令和7年中に所在が確認された人を母数として計算したものです。元データは警察庁の行方不明者統計で公開されています。
統計に表れない人たち
当社にご相談いただくケースの多くは、実はこの統計の外側にあります。理由は3つあります。
- そもそも届出を出していない — 成人が自分の意思で家を出た場合、家族が警察に届けないまま年月が過ぎることがあります。相続や再会の必要が生じて初めて、探し始めるケースです
- 届出は出したが、一般行方不明者として登録されたまま動きがない — 統計上は「行方不明者」として計上されますが、実際の捜索活動は行われていません
- 行方不明ではなく、単に連絡先が分からない — 旧友、恩人、疎遠になった親族、債務者。当事者にとっては人探しですが、統計上の行方不明者ではありません
つまり、統計に出てくる8万人は「行方不明になった直後の人」に強く偏っています。ご自身のケースが「発生から時間が経っている」ものであれば、この統計の平均値はあまり当てはまりません。判断の材料としては、調査期間と成功率の実態のほうが近いはずです。
この数字を自分のケースにどう使うか
| 経過時間 | 統計上の位置 | 取るべき手段 |
|---|---|---|
| 〜3日 | 全体の約8割がここで解決する | 警察への届出、立ち回り先の確認、共通の知人への連絡、防犯カメラの保存依頼 |
| 4日〜1週間 | ここまでで約85% | 金融機関・交通系ICの利用履歴、SNSの確認、勤務先への確認 |
| 2週間〜1か月 | 残り1割強の領域に入る | 戸籍の附票で住民登録の異動を確認。自力の手段の限界を見極める |
| 1か月以上 | 約9.5%。長期化の可能性が高い | 現地での居住実態の確認、周辺調査。専門家への相談を検討する段階 |
防犯カメラの映像は多くの場合1週間から1か月程度で上書きされます。統計上「1週間以内に85%が見つかる」という事実と、この保存期間はほぼ重なっています。初動で動ける期間は、技術的にもそう長くありません。
すでに1か月を超えている場合でも、手がかりが残っていないわけではありません。公的記録は時間が経っても消えず、2019年6月の法改正で戸籍の附票と住民票の除票の保存期間は5年から150年に延長されました。戸籍の附票で住所をたどる方法は、時間が経ったケースほど効いてきます。
よくある質問
日本の行方不明者は年間何人ですか。
警察庁の統計によれば、令和7年(2025年)中に受理された行方不明者届は8万486人分でした。男性が50,918人(63.3%)、女性が29,568人(36.7%)です。令和5年の90,144人をピークに2年続けて減少していますが、年間8万人規模という水準に変わりはありません。なお、この数字は警察に届出があった件数であり、届出をしていない失踪は含まれていません。
行方不明者はどのくらいの期間で見つかりますか。
令和7年に所在が確認された67,859人のうち、受理当日が49.1%、3日以内が78.8%、1週間以内が84.9%でした。大半は短期間で解決しています。一方で1か月以上かかった人が9.5%、1年以上が3.5%、2年以上が1,404人います。1週間を過ぎると、その後の発見までの期間は大きく長期化する傾向があります。
行方不明になる原因で最も多いものは何ですか。
単独の原因として最も多いのは認知症またはその疑いで、17,345人(21.6%)を占めます。次いで家庭関係が12,599人(15.7%)、事業・職業関係が5,340人(6.6%)です。犯罪関係は621人(0.8%)にとどまります。ただし原因が不詳とされたものが20,653人(25.7%)あり、届け出る家族に心当たりがないケースが4人に1人という点も、この統計の特徴です。
行方不明者が最も多い年齢層はどこですか。
10歳代が18,288人で最多です。人口10万人当たりでも172.7人と他の層より突出しており、令和3年から4年で約3割増えています。次いで80歳以上が13,800人、20歳代が13,661人と続きます。10代は家庭関係が原因の3分の1を占め、80歳以上は77.3%が認知症を原因としており、同じ行方不明でも性質はまったく異なります。
統計の発見率をそのまま自分のケースに当てはめてよいですか。
当てはまらないことが多いと考えてください。この統計は行方不明になった直後に届出が出されたケースに強く偏っており、失踪から年月が経過している場合や、そもそも届出を出していない場合の実態は反映されていません。また所在確認等の数には前年以前の届出分も含まれるため、届出件数との単純な割り算で発見率を出すこともできません。時間が経過しているケースの見通しは、個別の条件によって大きく変わります。
統計ではなく、ご自身のケースの見通しを知りたい方へ
ご相談は無料です。24時間365日、匿名でも承ります。
お話をうかがったうえで、ご自身で試せることが残っていればその手順をお伝えします。