確認できる経路は4つある
日本では、身元が分からないまま亡くなった方についても、記録が残り、公開される仕組みがあります。順に見ていきます。
| 経路 | 分かること | 使える人 |
|---|---|---|
| 1. 戸籍 | 死亡届が出されていれば、死亡の事実と年月日 | 直系の親族、配偶者 |
| 2. 行方不明者届による照合 | 身元不明の遺体が発見された際に照合してもらえる | 親族など届出ができる立場の人 |
| 3. 警察の身元不明者情報 | 身元が判明していない遺体の特徴、発見日時・場所 | 誰でも閲覧できる |
| 4. 官報の行旅死亡人公告 | 身元も引き取り手も不明な方の公告 | 誰でも閲覧できる |
親族であれば1から、そうでなければ3と4から当たることになります。
経路1:戸籍で死亡の事実を確認する
最も確実な方法です。人が亡くなると、親族や同居者、家主などから市区町村に死亡届が出されます。これが受理されると、その事実は戸籍に記載されます。死亡年月日と死亡地も記録されます。
直系の親族(親、子、祖父母、孫)と配偶者は戸籍を請求できますので、対象者の戸籍を取得すれば確認できます。2024年3月からは、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本を請求できるようになりました(広域交付)。
死亡届が出されていなければ戸籍は動きません
ここが重要な点です。身元が分からないまま亡くなった場合、届出がされないため戸籍には反映されません。同様に、孤独死などで発見が遅れ、身元の特定に時間がかかっているケースでも、戸籍上は生存していることになります。戸籍に死亡の記載がない=生存している、とは限りません。次の経路も確認してください。
なお、戸籍の附票をあわせて請求すると、住所の履歴が分かります。住民票が長期間動いていない、あるいは職権消除(実際には住んでいないことが確認され、市区町村が職権で住民登録を消すこと)がされている場合、生活の実態が失われている可能性を示す手がかりになります。
経路2:行方不明者届を出して照合してもらう
すでに行方不明者届を出されている場合、警察は届出の情報を全国のデータとして保有しています。身元不明の遺体が発見された際には、この情報との照合が行われます。
照合の精度を上げるため、届出の際には次のような情報を求められることがあります。
- 身体的特徴(身長、体格、血液型、傷痕、ほくろ、手術歴)
- 歯の治療歴(かかりつけの歯科医院。歯型は身元確認で有力な材料になります)
- DNA型の照合に使える資料(本人が使っていた歯ブラシなど)
- 着衣や所持品の特徴
- 最近の写真
届出をしていない場合は、この照合の対象になりません。長期間所在が分からない状態が続いているなら、まず届出を出しておくことをおすすめします。手続きは行方不明者届(捜索願)の出し方にまとめています。
経路3:警察の身元不明者情報を確認する
各都道府県警察は、身元が判明していない遺体について、発見日時・場所、推定年齢、性別、身長、着衣、所持品といった情報をウェブサイトで公開しています。「○○県警 身元不明」で検索すると該当のページが見つかります。
確認するときのポイントは次のとおりです。
- 都道府県をまたいで見る — 最後に住んでいた場所の近くとは限りません。出身地、以前の勤務地、縁のある土地も確認してください
- 推定年齢に幅を持たせる — 推定年齢は実年齢と10歳前後ずれることがあります
- 所持品と着衣に注目する — 特徴的な持ち物は、身体的特徴より手がかりになることがあります
- 該当しそうな情報があれば、自分で判断せず警察に連絡する — 公開されているのは情報の一部です。問い合わせれば、より詳しい照合ができます
ひとりで確認しないでください
この作業は精神的な負担が非常に大きいものです。写真や詳細な情報に触れることもあります。できるだけご家族やご親族と一緒に、あるいは専門家を介して行うことをおすすめします。当社にご依頼いただく場合も、この確認作業を代わって行い、該当の可能性がある情報のみをご報告する形をとることがあります。
経路4:官報の行旅死亡人公告を確認する
あまり知られていませんが、行旅死亡人という制度があります。「行旅病人及行旅死亡人取扱法」にもとづき、身元が分からず、引き取り手もない方が亡くなった場合、その市区町村長が埋葬・火葬を行ったうえで、官報に公告することになっています。
公告には、次のような情報が掲載されます。
- 推定年齢、性別、身長、体格
- 発見日時と場所
- 着衣と所持品の詳細
- 死亡推定日時
- 遺留金品の有無と、問い合わせ先の市区町村
官報はインターネット版でも公開されており、行旅死亡人の公告を検索できます。所持品の記載は非常に詳細で、身元を特定する手がかりになることがあります。心当たりがある場合は、公告に記載された市区町村の担当窓口に問い合わせてください。
公告を探すときのコツ
氏名では検索できません(身元不明だからこそ公告されています)。手がかりになるのは、発見場所・推定年齢・着衣・所持品です。最後に連絡があった地域、縁のある土地、そして失踪した時期の前後に範囲を絞って探すのが現実的です。年月が経っている場合、過去の官報をさかのぼって確認する必要があります。
確認できなかった場合に残る選択肢
どの経路でも確認できなかった場合、「生存しているとも死亡しているとも分からない」状態が続くことになります。この状態が長期化すると、相続、預金、不動産の名義、保険といった手続きが一切進まなくなります。
法律は、この状態を解消するための制度を用意しています。
| 制度 | 要件 | 効果 |
|---|---|---|
| 不在者財産管理人の選任 | 従来の住所を去り、容易に戻る見込みがないこと | 選任された管理人が財産を管理・処分できる |
| 失踪宣告(普通失踪) | 生死不明の状態が7年以上続いていること | 法律上、死亡したものとみなされる |
| 失踪宣告(危難失踪) | 震災や海難などの危難が去った後、生死不明が1年以上 | 危難が去った時に死亡したものとみなされる |
失踪宣告の手続きと費用は失踪宣告とはで詳しく解説しています。なお、失踪宣告を受けたあとに本人の生存が判明した場合は、取消しの手続きがあります。制度としても、生存の可能性が残されていることを前提に組み立てられています。
調査を依頼する場合
当社にこの種のご依頼をいただく場合、次の順で作業を進めます。
- 公的記録の確認 — 請求権のある方に戸籍と附票を取得いただき、住民登録の状態を確認します
- 最後の生活拠点の確認 — 住民登録地や最後に判明している住所の居住実態を現地で確認します
- 周辺への確認 — 近隣、旧勤務先、交友関係から、いつまで生活していたかの時点を絞ります
- 公開情報の照合 — 身元不明者情報や行旅死亡人公告のうち、時期と地域が合致するものを確認します
順序に意味があります。まず生存の可能性から確認するためです。実務では、亡くなっていると思われていた方が、住民票を移さずに別の土地で普通に生活していたというケースのほうが多くあります。最悪を想定して臨まれる方ほど、この結果に安堵されます。
費用の目安は20万円〜50万円程度、期間は2週間〜1か月程度です。手元の情報量と経過年数によって変動しますので、正確な金額は無料相談時にご提示します。
よくある質問
行方不明の家族が亡くなっているかどうか、どこで調べられますか。
経路は4つあります。直系の親族であれば戸籍で死亡の事実を確認できます。警察に行方不明者届を出しておくと、身元不明の遺体が発見された際に照合が行われます。各都道府県警察は身元不明者の情報をウェブサイトで公開しており、誰でも閲覧できます。さらに、身元も引き取り手も不明な方については、市区町村が官報に行旅死亡人として公告します。親族であれば戸籍から、それ以外は公開情報から確認してください。
戸籍に死亡の記載がなければ、生きていると考えてよいですか。
そうとは限りません。戸籍に死亡が記載されるのは、死亡届が出された場合です。身元が分からないまま亡くなった場合や、身元の特定に時間がかかっている場合、戸籍上は生存したままになります。戸籍に記載がないことは有力な材料ですが、それだけで判断せず、警察の身元不明者情報や官報の公告もあわせて確認してください。
行旅死亡人とは何ですか。
行旅病人及行旅死亡人取扱法にもとづく扱いで、身元が分からず、引き取り手もない状態で亡くなった方を指します。発見された市区町村が埋葬または火葬を行ったうえで、推定年齢、性別、身長、着衣、所持品、発見場所などを官報に公告します。氏名では検索できませんが、所持品の記載は詳細で、身元を特定する手がかりになることがあります。心当たりがあれば、公告に記載された市区町村へ問い合わせてください。
身元不明の遺体との照合には何が必要ですか。
行方不明者届を出す際に、身体的特徴、歯の治療歴、DNA型の照合に使える資料の提出を求められることがあります。歯型は身元確認において有力な材料となるため、かかりつけの歯科医院が分かる場合は伝えてください。本人が使っていた歯ブラシなどからDNA型を採取できることもあります。届出をしていない場合は照合の対象になりませんので、長期間所在が分からない状態であれば、まず届出を出してください。
結局分からなかった場合、手続きはどうなりますか。
生死不明の状態が続くと、相続や預金、不動産の名義変更が進められなくなります。この場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てて財産を管理してもらう方法と、生死不明が7年以上続いている場合に失踪宣告を申し立てて法律上死亡したものとみなす方法があります。失踪宣告は審判まで半年以上かかることが多いため、手続きの必要が見込まれる場合は早めに準備を始めてください。
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