海外にいる人を探す方法
国際調査の進め方と在外公館への相談

対象者が日本を離れている場合、国内での調査手法はほとんど使えなくなります。戸籍でどこまでわかるのか、公的機関に何を頼めるのか、現地での調査は現実的なのか。国際案件の実務を、できることとできないことに分けて整理します。

監修者 戸塚敦士
監修

戸塚敦士(代表取締役・人探し専門探偵)

株式会社オブザーバー / 東京都公安委員会 探偵業届出 第30070036号

1995年の創業以来、所在調査を専門に従事し、これまで3,000件以上の人探し調査を解決。TBS「1億分の8」でスゴ過ぎる探偵として選出、テレビ東京「もう一度うちの子に会いたい」出演。本記事は実際の調査実務にもとづいて執筆・監修しています。

まず確認すべきこと:本当に海外にいるのか

「海外に行ったらしい」という情報の多くは、伝聞であって裏づけがありません。調査を始める前に、渡航の事実を確認することが重要です。誤った前提で海外調査を進めると、費用も時間も無駄になります。

渡航の裏づけになるのは、次のような情報です。

  • 戸籍の附票に「国外転出」の記載があるか
  • 本人のSNSに、現地の写真や現地時間での投稿があるか
  • 家族や知人が、渡航を直接見聞きしているか
  • パスポートの所持状況、ビザの取得状況
  • 勤務先からの海外赴任の事実

住民票の国外転出届が出ていない場合

1年以上海外に滞在する場合、住民票の転出届を出すのが原則ですが、実際には届け出ずに渡航する方が相当数います。附票に転出の記載がないからといって、国内にいるとは限らない点に注意が必要です。

ルート1:戸籍からわかること

戸籍と附票からは、次の情報が得られます。直系血族であれば請求できます。

書類海外案件でわかること
戸籍の附票国外転出の年月日と、転出先の国名(都市名まで記載される場合もあります)
戸籍謄本現地で婚姻・出生・死亡の届出があれば、その事実が記載されます
在外選挙人名簿本人が登録していれば市区町村に記録がありますが、第三者は閲覧できません

重要なのは、在外公館に婚姻届や出生届を提出した場合、それが日本の戸籍に反映されるという点です。海外で結婚した、子どもが生まれたという事実が戸籍から判明し、そこから現地での状況が推測できることがあります。

逆に、附票に記録されるのは転出先の国名までで、現地の住所は記録されません。ここから先は別のルートが必要になります。

ルート2:外務省・在外公館への相談

海外に滞在する日本人(海外邦人)の所在について、外務省および在外公館(大使館・総領事館)に相談できる制度があります。これは海外邦人援護の一環として行われるものです。

相談できるケース

  • 家族が海外渡航後、連絡が取れなくなった
  • 事件・事故に巻き込まれた可能性がある
  • 災害の発生地域に滞在している可能性がある
  • 緊急に連絡を取る必要がある(親族の危篤・死亡など)

実際に何をしてもらえるか

在外公館は、在留届の情報を確認し、届出があれば本人へ連絡を試みます。ただし、次の点は理解しておく必要があります。

在外公館の対応には限界がある

  • 在留届を出していない邦人については、そもそも情報がありません(提出率は決して高くありません)
  • 本人の所在が判明しても、本人の同意なく家族に住所を教えることはできません
  • 「無事は確認できました」という回答にとどまることが多くあります
  • 捜索活動そのものを行う機関ではありません
  • 単に会いたい、連絡したいという理由での所在調査は対象外です

それでも、緊急性のあるケースでは有効な手段です。まずは外務省の領事サービスセンター、または該当国の在外公館に相談してください。

ルート3:現地の調査機関との連携

上記で解決しない場合、現地の調査機関に依頼するという選択肢があります。当社では、海外の提携調査機関を通じた対応が可能です。

国によって難易度が大きく異なる

これが国際案件の最大の特徴です。個人情報保護の制度は国ごとにまったく異なり、調べられる範囲も大きく変わります。

地域調査の傾向
米国公的記録の公開度が比較的高く、住所履歴や訴訟記録の照会が可能な州がある
EU圏GDPRにより個人データの取扱いが厳格。調査可能な範囲が限定される
東南アジア国により制度差が大きい。日本人コミュニティからの情報収集が有効な場合がある
中国・韓国公的記録へのアクセスが限定的。現地機関との連携が前提
中東・アフリカ現地の調査体制が限られ、対応可能な国が限定される

費用と期間

国際調査は、国内案件と比べて費用も期間も大きくなります。現地機関への委託費、通訳・翻訳費、渡航が必要な場合の旅費などが加わるためです。目安として、国内案件の2倍から3倍程度をご想定ください。期間も数か月単位になることが一般的です。

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外国人の方を日本で探す場合

逆のパターン、つまり日本国内にいる外国籍の方を探すケースについても触れておきます。

外国籍の方も、日本に中長期在留者として住んでいれば住民票が作成されます。したがって、住民票や住民票の除票による追跡は、日本人と同じように機能します。ただし戸籍は日本人のみの制度であるため、戸籍の附票による追跡はできません。

  • 住民票・除票による住所の追跡は可能
  • 戸籍・附票は存在しないため、この経路は使えない
  • 在留資格の変更や出国により、住民票が消除されている場合がある
  • 通名(通称名)を使用しているケースでは、氏名の表記が複数存在することがある
  • 本国での身分事項を確認するには、本国の在日大使館・領事館を通じた手続きが必要になる

実務上は、住民票の追跡に加えて、勤務先やコミュニティからの情報収集が有効です。同国出身者のコミュニティが情報を持っていることが多くあります。

国際案件で現実的にできること

率直に申し上げると、海外案件は国内案件より到達率が下がります。ご相談の段階で、当社は次のように見通しをお伝えしています。

到達可能性が比較的高いケース

  • 渡航先の国と都市が判明しており、日本人コミュニティに属している
  • 現地で就労しており、勤務先の見当がつく
  • SNSで現在も発信しており、生活圏が推測できる
  • 在外公館に在留届を提出している

到達が困難なケース

  • 渡航したという伝聞のみで、渡航先の国すら特定できていない
  • 個人情報保護が厳格な国に滞在している
  • 本人が意図的に身を隠しており、日本との接点を断っている
  • 渡航から長期間が経過し、その後の記録が一切ない

当社では、費用が大きくなる案件ほど、着手前に見通しを率直にお伝えするようにしています。到達が困難と判断した場合は、その旨をお伝えして無理にお受けすることはありません。

まとめ

海外での所在調査は、まず戸籍の附票で国外転出の事実と転出先の国を確認するところから始まります。緊急性がある場合は在外公館への相談を並行し、それでも解決しない場合に現地機関との連携を検討する、という順序です。

国際案件は費用も期間も大きくなるため、着手前の見極めが特に重要です。まずは現在わかっている情報をお聞かせください。どのルートが使えるかの見通しだけでも、無料でお伝えします。

よくある質問

在留届を出していない場合、外務省は何もしてくれませんか。

在留届がなくても相談自体は受け付けられます。ただし、公館側に情報がないため、できることは限られます。事件・事故の可能性がある場合は、現地当局への照会が行われることもあります。

海外の探偵に直接依頼したほうが安いですか。

直接依頼できれば費用は抑えられますが、言語の壁、契約内容の確認、費用の支払い、報告書の信頼性など、確認すべき点が多くあります。日本の事業者を窓口にすることで、これらのリスクを軽減できます。

対象者が海外で亡くなっていた場合、わかりますか。

在外公館に死亡届が提出されていれば、日本の戸籍に死亡の記載がなされます。したがって戸籍を確認することで判明します。届出がされていない場合は、現地での確認が必要になります。

国際結婚した相手を探したいのですが。

婚姻の届出が在外公館または日本の市区町村に提出されていれば、戸籍に記載されます。ただし現地の方式のみで婚姻した場合、日本の戸籍に反映されていないことがあります。まずは戸籍を確認してください。

費用はどのくらい見ておけばよいですか。

国と難易度によって大きく変わりますが、国内案件の2〜3倍、具体的には100万円を超えるケースもあります。ご相談の段階で概算をお伝えし、費用に見合う見通しがあるかを一緒に判断させていただきます。