戸籍からたどれる理由
日本の戸籍制度には、ある戸籍がどの戸籍から作られたかを示す記載が必ず残ります。これを「従前戸籍」「改製前戸籍」などと呼びます。この連鎖をさかのぼっていけば、離婚や転籍で別々になった親子であっても、書類の上ではつながりを追跡できます。
そして重要なのが、直系血族であれば互いの戸籍を請求できるという点です。実の親子は直系血族にあたるため、子が親の戸籍を、親が子の戸籍を請求する権利があります。これは何十年会っていなくても変わりません。
調査の起点は「自分の戸籍謄本」
多くの方が「相手の情報がないから探せない」と考えますが、実際には自分の戸籍謄本を取るだけで相手の氏名・生年月日・従前本籍が判明することがほとんどです。まずはご自身の本籍地で戸籍謄本を取得してください。ここが出発点になります。
ケース別のたどり方
1. 両親の離婚で離れた場合
最も追跡しやすいケースです。離婚により親権者でない側の親は戸籍から抜けますが、あなたの戸籍にはその親の氏名が父欄・母欄として残り続けます。また、離婚の事実と、抜けた側がどの戸籍に入ったか(新戸籍の本籍地)も記載されます。
この記載をもとに相手の本籍地へ戸籍謄本を請求し、さらに戸籍の附票を請求すれば、現在の住民登録地まで到達できます。直系血族としての請求なので、正当な理由の疎明は不要です。
2. 普通養子縁組の場合
普通養子縁組では、実親との法的な親子関係は継続します。したがって実親も直系血族のままであり、戸籍の請求権も維持されます。あなたの戸籍には養子縁組の事実と、縁組前の戸籍が記載されているため、そこから実親をたどれます。
3. 特別養子縁組の場合
特別養子縁組は、実親との法的な親子関係を終了させる制度です。そのため戸籍上の扱いが他のケースと大きく異なります。
特別養子の戸籍には、実親の氏名は記載されず、代わりに「民法817条の2による裁判確定」といった記載と、縁組前の戸籍(実親の戸籍)が残ります。この記載をたどることで、成人後に実親の情報にたどり着ける仕組みになっています。
特別養子縁組のケースでは慎重に
特別養子縁組は、実親が養育できない事情があって成立した制度です。実親が再婚して新たな家庭を築いていたり、周囲に事実を伝えていなかったりする可能性を必ず考慮してください。所在を突き止めること自体は可能でも、いきなり訪問することは相手の生活を大きく揺るがしかねません。接触の方法については後述します。
4. 施設で育ち、実親の情報がない場合
児童養護施設等で育った方の場合、自分の戸籍を取得すれば実親の氏名が記載されているのが通常です。棄児として発見され、就籍の手続きで戸籍が作られた場合は実親の記載がありませんが、この場合でも当時の記録が自治体や施設に残っていることがあります。まずは自分の戸籍を確認してください。
実際の手順
- 自分の戸籍謄本を取得する— 本籍地の市区町村へ。本籍がわからない場合は、住民票を「本籍地記載あり」で取得すれば確認できます
- 従前戸籍・父母欄を確認する— 相手の氏名、生年月日、離婚や縁組の年月日、従前本籍が記載されています
- 相手の戸籍謄本を請求する— 直系血族として請求します。関係を示すため、自分の戸籍謄本を添えます
- 戸籍の附票を請求する— 住所の履歴が記録されており、最後の記載が現在の住民登録地です
- 転籍していれば繰り返す— 本籍を移していた場合、新しい本籍地へ請求し直します
- 現地で居住実態を確認する— 住民登録地に実際に住んでいるとは限りません
手順1から4までは、ご自身で進められます。窓口や郵送での請求方法は「戸籍の附票・住民票で人を探す方法」で詳しく解説しています。
追跡が途切れるケース
次のような場合、書類だけでは行き詰まります。
- 住民票を移さずに転居している — 実務上、これが最も多い原因です
- すでに死亡している — この場合、戸籍に死亡の記載があります。同時に、他の親族の所在がわかることもあります
- 海外に転出している — 転出先の国名までは記載されますが、それ以降の追跡は困難になります
- 2014年より前に除票となり、記録が廃棄されている
この段階からが民間調査の領域です。旧住所地での聞き込み、勤務先の割り出し、親族からの情報収集など、書類以外のルートを組み合わせて所在を確認します。
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見つかった後が本当に難しい
この種の調査で最も配慮が必要なのは、所在の特定ではなく、その後の接触です。長年会っていない家族との再会は、双方にとって人生を左右する出来事になり得ます。
いきなり訪問しない
感情が高ぶって直接会いに行きたくなるのは自然なことです。しかし相手には相手の生活があります。新しい家族がいる、周囲に過去を話していない、健康上の問題を抱えているといった事情は、こちらからは見えません。突然の訪問は、相手を守る立場の家族との深刻な対立を招くことがあります。
第三者を介した接触という方法
当社では、依頼者に代わって調査員が第三者として接触し、相手の意向を確認するという手順を取ることがあります。「◯◯さんという方が、あなたを探しておられます。お会いになる意思はありますか」と伝え、返事を持ち帰る形です。
この方法であれば、相手が拒否した場合でも、依頼者が直接傷つくことを避けられます。また相手にとっても、家族の目の前で判断を迫られる事態を回避できます。
実際にあったケース
40代の依頼者が、3歳のときに離婚で別れた父親を探されたご依頼です。戸籍から所在を特定し、調査員が第三者として手紙をお届けしました。父親は再婚しており、当初は「今の家族に説明できない」と面会を断られました。しかし2か月後、父親側から当社に連絡があり、依頼者と2人だけで会いたいという申し出がありました。急がずに相手の時間を尊重したことが、結果的に再会につながった事例です。
拒否されることもある
率直に申し上げると、接触を拒まれるケースは一定数あります。相手にも守りたい生活があり、その意思は尊重されなければなりません。ただ、「無事に生きている」ことがわかるだけでも、多くの依頼者にとって大きな意味を持ちます。この点は、ご依頼をお受けする前に必ずお伝えしています。
まとめ
生き別れた家族を探す調査は、戸籍という確実な手がかりがあるため、他のケースに比べて所在の特定に至る割合は高いといえます。まずはご自身の戸籍謄本を取得することから始めてください。
一方で、見つかった後の接触には慎重な設計が必要です。当社では30年間、この種のご依頼を数多くお受けし、再会の場に立ち会ってきました。どう伝えるかまで含めてご相談いただけます。
よくある質問
自分の戸籍謄本には、実の親の名前が必ず載っていますか。
普通養子縁組や離婚のケースでは、父欄・母欄に実親の氏名が記載されています。特別養子縁組の場合は実親の氏名は記載されませんが、縁組前の戸籍が記載されているため、そこから実親の戸籍にたどり着けます。
親が亡くなっていた場合、それはわかりますか。
戸籍に死亡の記載がありますので確認できます。この場合、除籍謄本を取得することで、他のご親族(きょうだいなど)の情報が判明することもあります。
相手が会いたくないと言った場合、どうなりますか。
その意思を尊重することになります。当社では、相手の返答をそのままお伝えし、それ以上の接触は行いません。ただし、相手の状況が変わって後日連絡が来ることもあるため、当社を窓口として残しておくことは可能です。
調査にはどのくらいの期間がかかりますか。
戸籍から順調にたどれるケースでは2〜4週間程度です。転籍が多い、住民登録地に居住実態がないといった場合は、さらに数週間から数か月を要することがあります。
養子であることを養親に知られたくないのですが。
ご自身の戸籍謄本の取得は、養親に通知されることはありません。調査についても秘密厳守で進めますので、ご家族に知られることはありません。ご相談は匿名でも承っています。